はじめに:転勤族の園選びは「スピード」と「優先順位」がカギ
全国転勤という制度を撲滅したい。私は自分が正社員として働いていた時から結婚・出産を経て在宅ワーカーになった今もずっと思い続けており、年々その思いは強くなっています。何かの間違いで政治家の道が開かれたら絶対にこの政策一本で戦いたいくらい。
転勤族の夫または妻を持つ方々なら骨身に沁みるほどわかると思いますが、転勤、引っ越しというのは生活基盤が根こそぎ変わるということなのです。そのコスト・労力・心理的負担といったら。特に子供ができてからだと、引っ越しまでの工程を思い浮かべただけで一週間くらいは夜歯ぎしりが止まらなくなります。1か月前とかに辞令をだしてくる日本の会社たち、人権意識が低すぎる。好きな土地で働く権利を尊重してください。
という積年の想いは置いといて、実際会社員なら辞令が発してしまったら従うしかないですよね、そして大体の場合は妻がすべての実務を取り仕切りますよね。そして小さい子供がいたら一番大変なのが幼稚園選びです。正直小学校は公立だと学区があるので、ある程度住みたいエリアなど決めてしまえばすんなりいきます。
大変なのが幼稚園。制服・給食・通学方法・行事・教育方針・規模などすべてがバラバラでどこから手を付ければいいのかわからない。これです。なので、全く別の地域で3つの幼稚園(認定こども園)を渡り歩いた私の経験から、少しでも転勤パニックになる母たちを救うべく、お伝えしたいと思います。
最初に結論を言いますと、完璧を目指さないこと!子供のためと思うと、ベストな受け入れ先を選ばねば、失敗できない、とプレッシャーに感じてしまうかもしれませんが、そんなもの、ありません。人生のすべての選択肢において、その時自分が一生懸命選んだものならば、最良と信じてあとは楽しみましょう!
まずはここから!引越しが決まったらすぐやるべき3ステップ
ステップ1: 判断の軸を決める
選ぶのが面倒なのは、基準が明確でないからです。まずは夫婦でも話し合って、譲れない条件を決めること。それさえあればあとは消去法でどんどん絞れて行きます。
参考に、私のかつての比較・判断軸です。①から優先順です。
①幼稚園/認定こども園の選択:認定こども園。
今はもう本当の意味で「幼稚園」(預かり機能全くなしの14時頃降園の施設)というのは少なくなってきていると思いますが、認定こども園とは「幼稚園」+「保育園」のハイブリッド施設です。保育園は当然働いてないと入れませんが、認定こども園は働いてなくても入れる上に、「預かり保育」として朝や14時以降にも保育を行ってくれる施設です。なので入園時は就労していなくても、今後働き始めるかも、という方は認定こども園一択です。
満3歳から受け入れてくれる施設なら長ければ4年近く通えますから、すでにお仕事をされていて、保育園は競争率が高くてきつい、という方も選択肢として十分ありだと思います。
注意すべきは、正式に「認定こども園」となっている施設でも、実態は聞いてみるまでわからないこと。2か所目の認定こども園では、書類上は「預かりOK」となっていましたが、いざ入園すると慢性的な人手不足により預かりは「緊急時のみ」と言われてしまい、結局預けることはなく卒園しました。後で見学時のポイントで書きますが、書類・HP上の記載を鵜呑みにするのではなく、実態を聞くというのはとても大事です。
②規模:小規模(一学年の人数は100人以下)
なんとなく、マンモス幼稚園だと先生の目が行き届くのか不安だし、関わるママたちも多いから大変そう、という個人的な理由。これはもう超個人的な見識なので、全く参考にはなりませんが、理想の規模感を持つと、一気に絞れるので一度考えてみるのはおすすめです。逆に、小規模すぎると内輪すぎて嫌とか。
③給食:毎日給食希望。お弁当は月イチまで許容。
これ、結構盲点で、「給食あり」となっていても、週一でお弁当の日、とか設定されているところもあります。私はお弁当作りに喜びを覚えられないのでここは大事でした。
④制服:できるだけなし
1か所目の園で数万円の制服を購入し、一学期でやめたときは悔しかった・・・。最近は減ってきているかもですが、伝統的な園だとかっちりとしたブレザーや帽子を買ったりして出費がかさみます。制服なんて後回し・・ではなく、毎日着るものでメンテナンスも必要になるので、重要な点です。
⑤通園方法&時間:できればバス&近距離
通園時間というのは思ったより毎日効いてきます。遠いとそれだけ早く準備せねばならず、皆さま重々承知かとは思いますが毎日こどもを同じ時間に準備OKにさせる労力たるや・・・。それに小さい頃は熱が出ただのなんだので登園したと思ったら帰ってくるなんてこともしょっちゅう。なのでそういう緊急時もすぐ動けるように、自転車でも車でも、「何分以内圏内」と決めてしまうのがおすすめです。
また、バスについての注意点は、「そのバス、無くなってもやっていけますか?」ということ。どうせバスが出てるから大丈夫~と思って少し遠くても妥協するか、と思ってたら「来年からバスなくなります」なんてことは普通に起こります。というか3か所中2か所で起きたので、昨今バスの運転手さん不足は深刻です。
※番外編:宗教
日本という国は無宗教の人の数が他の国々に比べて多いといわれていますが、幼稚園界隈だけは別。多くの園が何かの宗教に紐づいていることが多いのです。私が見た中ではキリスト教系が一番多く、仏教系がその次、という感じでした。キリスト教系は金曜に礼拝があったり食事前にお祈りがあったりするので、そういう宗教行事がちょっと・・・という方はそこからも絞り込めます。
私も園長が敬虔なクリスチャン(カトリック)の園を経験しましたが、正直言ってあまり関係ないです。行事としては色々あったりしますが、その割合も大したことないので、「異文化体験」くらいの感覚でした。先生方は全く関係ないことも多いですし。ご参考まで。
以上は私自身の独断と偏見による参考事例ですが、こういった「自分なりに譲れない条件」、「許容範囲」などを整理していき、表にまとめていくと意外と楽しみながら選定を進めることができます。
ステップ2:比較表でどんどん絞る
判断軸ができたら、あとはもう仕事だと思って条件比較表をノートでもエクセルでもいいので作ってみてください。
ポイントは、地域×条件をどうするか。会社の社宅などであらかじめ住む場所が限定されていれば話は早いですが、住む地域の選択肢が幅広く、まっさらの状態から選ぶときは難しいですよね。そういうときは地域優先リストを先に作ります。
①駅前エリア②市街地エリア③郊外など、まずざっくり住みたいエリアの優先順位を決めたうえで、自治体のHPなどから全施設のデータなどをとってきて、エリア毎に分け、人数で絞り込み、条件で選別、という順番でやってみてください。
大丈夫です。絶対に「ここだ!」と思える時が来ます。
ステップ3: 気になる園にメールで資料請求&問い合わせ
候補が10か所程度に絞れて来たら、問い合わせ段階に入ります。
最近大体の園がHPを持っていますし、自治体の「施設一覧」なんかでも連絡先がチェックできるので、そこから候補の園にメールして、受け入れ可能か、可能なら資料を送ってください、と問い合わせます。
なぜメールかというと、メールにも対応してくれないところはデジタル対応が遅く、入園した後色々アナログで苦労するのが目に見えているので、その選別も含まれてます。
私はできるだけデジタル活用推進派なので、出欠連絡・バスの利用・預かり予約などがWebでできるところ、というのもプラス要因でした。なので共感する方はHPが整っているかどうかもチェックポイントです。
また、問い合わせの応対ももちろん重要ポイントです。転入転出になれている園はサクサク質問にも答えてくれ、手続きもスムーズにいきますので、そのあたりもその後に影響してきます。
見学時のみるべきポイント
遠方に住んでいると見学の機会は持てないかもしれませんが、見学はできればした方がいいと思います。先生方の雰囲気、園全体の雰囲気、園舎の雰囲気、パンフレットやHPでは感じられないものがたくさんあります。駐車場が狭すぎたり、周辺の道が複雑でこんなところ毎日通っていたらいつか事故ってしまう!みたいなところもやはり地図だけではわからないところです。
〈ポイント〉
・車で送迎予定の方:駐車場の大きさや停め易さ
・園舎&園庭の広さ
・先生方の数→平日に見学すると、普段の様子が見えてとても参考になります。あれ?こどもの数多いけど先生少な目?など感覚で見れるのでおすすめです。
・応対してくれた方のお人柄(園長・副園長先生など)
トップの人柄で組織は決まる。幼稚園も同じ気がします。質問に丁寧に答えてくれるか、遠方からの転入に対して寄り添ってくれるか、問い合わせや見学時点で違和感を感じたらその後も違和感を感じ続けると思います。
〈聞いておきたい質問〉
・制服・備品の指定(転入者への配慮があるか)
体操服・粘土などの道具が他の園のものでも使えるか、リユース品の販売があるかどうかなど。
・預かり保育の実態
以前も書いた、「その預かり制度、本当に利用できますか?」という点。このあたりの質問で
・途中で新2号に変更可能?
在園中に仕事を始める可能性がある場合は、受け入れの体制もあらかじめ聞いておきましょう。
・PTAや行事の負担はどのくらい?
年に保護者参加の行事や活動はいくつあり、どの程度コミットが必要なのか。PTA的組織はあるのか、役職などはどのように決めるのか。正直に言いますが、私は子供が幼稚園でのびのび楽しく過ごしていてくれていれば保護者が参加する行事なぞいらないと思っているくらいなので、このあたり結構しっかり確認しました。行事もPTA活動もどんとこい、いくらでもお手伝いさせていただきます、という方はさっと読み飛ばしてください。
・お勉強系?自由遊び系?
これは直接的な質問は難しいですが、見学時に先生方の説明などから感じておきたいポイントです。これまで色々な幼稚園を見てきて、教育方針の面から言うとざっくりこの2つに分かれます。教室内に机と椅子を並べて、「就学前の準備」としてひらがな・カタカナをしっかり教えてくれて、椅子に座ってみんなで過ごす、という社会性を重視するところ。
もう一方が、泥だらけになってひたすら遊び、遊ぶことが学ぶこと、のようなコンセプトのところ。どちらもいい面があるし、子どもとの相性もあると思います。知人にも、「やんちゃだからこそ、幼稚園で椅子に座ることを覚えなきゃ、小学校が大変なことになる」というお母さんもいれば、「ルールが多くて幼稚園が嫌になってしまった」という意見もあったり、ここは数字や設備に現れないところですし、HPにいくらよさそうなことが書いてあっても、実際に聞いてみたり見てみることで一番違いを感じるポイントだと思います。HPにはだいたいいいことしか書いてないですしね・・。
おわりに:新しい場所での「親子時間」を笑顔でスタートさせよう
ここまで色々と書いてきましたが、転勤に伴う園選びは、はっきり言って「正解」があるわけではありません。
どれだけ入念にリサーチして、比較表を作って、見学で目を皿のようにしてチェックしても、入ってみなければわからないことは山ほどあります。でも、それでいいんです。
大事なのは、見知らぬ土地で孤独に戦いながら、我が子のために必死で情報を集め、悩み抜いたというその過程そのものです。やっつけで適当に選んだわけではありません。
もし、選んだ園が想像と少し違っても。 もし、お子さんが「前の幼稚園の方が良かった」と泣いてしまっても。
それはあなたが失敗したわけではなく、ただ「新しい環境に慣れるための時間」が必要なだけ。環境が変わっても、パパやママが味方でいてくれれば、子どもは驚くほどの適応力で、いつの間にか新しいお友達と泥だらけになって笑うようになります。
ちなみに、引っ越しをたくさんした人の方が適応力は上がり、社会に出ても活かされる、という採用面接のプロの話を聞いて、私はただ面倒なだけではない、人間力があがることなんだ、とそのプロの言葉を信じることにしました。
引越し作業でボロボロになりながら、夜中に歯ぎしりして園を探しているあなたへ。 あなたはもう、十分すぎるほど頑張っています。
新しい街での暮らしが、親子にとって豊かに、素敵な日々になりますように。 「となりの本棚」も、あなたの新しい一歩を、心から応援しています!
たまり
